経営企画部の彼が半年間、彼女に連絡できなかった理由│Quiet Strength×Soft Strength2
 部屋はずっと静かだった。その四人の視線の先で、司の表情がゆっくりと変わる。嬉しそうに口角が上がって、でもその笑みを照れ臭そうに隠した。喜んでる。誰よりも強く。抱えきれないほどの大きな感情が零れ落ちた笑みだと分かる。

 それを見た四人の中で、押さえ付けていた感情がぶわっと弾けた。司の感情がそれを割ってくれて心底安心した。

 そりゃそうだよ。司は誰よりも頑張った。いや、皆精一杯頑張った。でも、一番大変だったのは司だ。報われて嬉しくない訳がない。そんなの分かってる。それでもちゃんと喜んでくれて安心した。その感情が嬉しかった。それだけで全部が報われた。

 その静かな感動に、四人は思わず涙ぐんだ。この後司がどうするのかは分からないけれど、ここまで一緒に来られたことを心底嬉しいと思う。司が笑ってくれて、やっと全員がそっと笑った。

「上野! うう、上野!」

 その時、ばーんと部屋のドアが開いて部長が飛び込んできた。呼ばれた司は目を丸くする。その他は必死に涙を誤魔化した。司には見せちゃ駄目だ。絶対に。

「すすすぐ、すぐ、すぐ社長室に行きなさい! 今すぐ!!」

「は? …え、はい…」

 司は小さな返事をして慌てて立ち上がる。そして部屋を出ていった。あ、良かった。司がいなくなった。これで心置きなく泣ける…。
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