よそ見なんてしてません!…たぶん。〜クールな外科医の独占欲が止まりません〜

 車が静かに走り出す。

 ドキドキする。

 ドキドキどころか、バクバクしてる。

 嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。

 なのに――。

 『付き合ってすぐキスしてきたのね』

 『距離の詰め方が手慣れてるなって』

 『本気の相手なら、もっと慎重にならない?』

 また、あの会話が蘇る。

 付き合ってすぐキス。

 その一週間後には家。

 …………。

 やっぱり、慣れてる……?

 嬉しいはずなのに、胸の奥が少しだけ苦しくなった。

 「どうぞ」

 「お、お邪魔します……」

 緊張しながら足を踏み入れた須波先生の部屋は、想像していた通りだった。

 シンプルで。

 綺麗で。

 余計な物がなくて。

 落ち着いた色で統一されている。

 …………ここで。

 須波先生が、生活してる。

 「何か飲む?水かお茶しかないけど」

 「あ、じゃあ、お茶で」

 「了解」

 冷蔵庫を開ける先生。

 なんだか直視できなくて、どこを見たらいいかわからなくて、ひとりソワソワと部屋の中を見渡す。

 視界に入る、一つのドア。
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