よそ見なんてしてません!…たぶん。〜クールな外科医の独占欲が止まりません〜
先生の声が少し低くなる。
「お前が好きなのって、俺?」
「え?」
「それとも、俺の腕?」
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
先生の目は、笑っていない。
「……俺のこと好きって言ったけどさ」
少しだけ視線を逸らす。
「和田みたいに好みの腕した男がいたら、そっち見るし」
「それは……」
「わかってる。そういうフェチなのは」
先生が小さく息を吐く。
「でも、面白くない」
その言葉に胸がギュッとなった。
この人でも、こんな顔するんだ。
いつも余裕があって、クールな無表情で、何を考えてるかわからないのに。
私ばっかりドキドキさせられていると思っていた。
でも。
先生も――
不安になるんだ。
「先生」
「何」
「私……先生の腕が好きです」
「…………」
「大好きです」
「おい」
「でも」
先生を見る。
「今は、腕だけじゃないです」
「今日だって、患者さんを診てる先生を見て、カッコいいって思いました」
「…………」
「前腕なんて、見てなかったんですよ?」
自分で言って、少し笑ってしまう。
「先生が患者さんに向き合ってるところとか、和田先生に教えてるところとか。そういうの見て……」
胸の奥が、温かくなる。
「私、須波先生のこと、本当に好きなんだなって思いました」
先生が何も言わない。
その瞳だけが、真っ直ぐ私を見ている。