S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
その様子に気づいても和季の手は止まることはなく、むしろさらなる反応を欲しているように、ブラウスの上から背骨をつつつ、と撫でられる。
「ん……ぁ……っ」
布越しではあるが、和季の指先が肌を撫でているのだと思うと、背中がぞくぞくと甘く粟立つ。
腰の奥からびりびりとした奇妙な感覚がせり上がってきて、それを少しでも逃すために踵を浮かせると、腰を抱く力がさらに強まる。
「……行くなよ」
再び鼓膜を震わせる和季の懇願に、腰からかくんと力が抜けそうになる。骨の髄まで響く低音の中に、花蜜のようにねっとりとした甘さが含まれていると気づくと、自分の意思とは関係なく首を縦に振ってしまいそうになる。
だが約束は陽太の方が先だ。しかもその時間が差し迫っているこの土壇場で、理由もなく『行かない』という選択はできない。
口を開くと変な声が出てしまいそうだったので、首を横に振るだけで和季の意には沿えない、と示す。
しかし和季はそんな紗夜の拒否もあっさりと無視する。背中を撫でていた手がそのままゆっくりと上昇し、首の後ろをするりと撫でられる。
その触れ方だけでも十分困惑しているのに、和季がさらに紗夜の自由を奪うような一言を告げてくる。
「俺はこの二年、ずっと……紗夜に振り向いてもらうことだけ考えてきた」