S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 紗夜の宣言に一瞬黙り込んだ和季だが、すぐに頷いて提案を受け入れてくれる。

 その顔には紗夜から陽太に連絡をすることすら不満だと書いてあったが、連絡をしないままだとそのうち陽太の方から連絡がくるかもしれない、と気がついたのだろう。

 一瞬たりとも紗夜を離したくないのか、和季が身体を支えてくれている。

 脱力しかけている紗夜なのでそれ自体はありがたかったが、先ほどからメッセージを打ち込もうにも指が震えて、思い通りの場所を上手くタップできない。

 それほど和季の命令が怖かったのだろうかと自分で自分に疑問を感じるが、すぐに『ちがう』と気づく。

 そう、これは恐怖じゃない。指先が小刻みに震えて、全身が熱く火照って、下腹部の奥がじくじくと疼くのは、紛れもない期待と快感の表れだ。

 しかしメッセージが打てないと、陽太に連絡がとれない。

 このままでは埒が明かない、と判断した紗夜は、メッセージによる連絡を諦めて、そのままアプリ内の通話機能を使って用件を伝える方法へ切り替えることにした。

 震える指先で受話器のボタンをタップすると、リロリロリロリン、と可愛らしい音を発するスマートフォンを耳に押し当てる。

 ――だがそこでまたも予想外の出来事が起こる。

「えっ? 常務……!?」

 気がつけば紗夜の膝と背中の下に和季の腕が入り込み、そのまま身体を横抱きに持ち上げられていた。

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