S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
「!? えっ……?」
なにを思ったのか、背中に手を回して紗夜の身体を支えていた和季が、急に手を動かして紗夜の脇腹に――というよりも胸に、その細長く骨張った指を這わせてきたのだ。
(な、なにして……!?)
スマートフォンを耳に押し当てたまま視線を上げる。和季も紗夜の顔を見つめていたが、その表情は暗く曇っており、明らかに不機嫌な様子だった。
和季の表情と行動に戸惑っていると、その困惑に気づくはずもない陽太が、電話の向こうで勝手に話を進め始める。
『深田、アレルギーとか、嫌いなものとかある? もしなんでもいいなら、先輩に聞いた美味い洋食屋があって……』
陽太がこの後の予定について、矢継ぎ早に提案してくる。スピーカーモードにしているわけではないのだが、陽太の声がよく通るせいでそのすべてが和季にも聞こえているらしく、和季の眉間にピクリと皺が寄る。
和季の苛立ちを感じ取った紗夜は、アレルギーの状況でもお店の希望でもなく、そもそも行けなくなってしまったことを早急に陽太に伝えようとした。
「! あ、あのね、瀬戸く……んっ」
しかし話し続ける陽太に一旦止まってもらうべく彼の名前を呼んだのは、失敗だったらしい。
急に動き出した和季の手がブラウスの上から紗夜の胸をわし掴んだので、語尾が少し上擦ってしまう。
(なにするんですか……!?)