S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
和季が今夜の予定を勝手に決めてきたので、ハッと我に返って慌てて首を振る。
なぜか和季の部屋を訪れる方向で話を進められているが、紗夜は一言も『行く』だなんて言っていない。
だが和季は紗夜の返答と反応から、このまま丸め込める、と踏んだらしい。
和季が紗夜の上から退けて、身体を解放してくれる。
ようやく自由を得て起き上がった紗夜はそのまま和季から距離を取ろうとした。だが腕を伸ばした和季に腰を抱き寄せられる方が一瞬早く、再び耳元に唇を寄せられてしまう。
「待ってるから」
「っ……」
腰に響くような低音に慄いた紗夜は、俊敏な動作で腰に絡む和季の腕を払いのけると、その場にガバッと立ち上がる。
和季のせいで捲れ上がっていたスカートを急いで下ろして整え、ずれていた眼鏡の位置を直し、ソファに座ったまま紗夜を見上げる和季へ吠えるように宣言する。
「永遠に! 待ってればいいと思いますっ!」
突き放すような一言を残すと、そのまま常務執務室を後にする。
紗夜の威勢の良さを目の当たりにした和季はくすくすと笑っていたが、それもすべて無視することにした。これ以上、彼のペースに乗せられたくはない。