S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

××センチの深さまで


 和季に抱き上げられて奥の寝室へ運ばれた紗夜は、ベッドへ下ろされるまでの間も、シーツに横たえられてからも、ずっと緊張に身を固くして震えるばかりだった。

 仰向けに寝かせた紗夜の上に跨り、傍に置いてあったリモコンを操作して照明を落とす和季の姿が、妙に生々しい。

 天井の照明は消えたのに壁際の間接照明にほんわりと電球色が灯っているのも、和季があらかじめ仕掛けていた罠に自分から飛び込んだようで、そわそわと落ち着かない。

 なのにこれから彼にされるであろうことを想像するだけで、下腹部の奥がどうしようもなく甘く痺れてしまう。

「あ、あの……和季さん……」
「ん?」

 多少ぎこちなくはあったが、それでも紗夜が素直に名前を呼んだことが嬉しかったらしく、和季がやわらかな表情で首を傾げる。

 しかし紗夜は彼に微笑みを向けられると、なぜかさらなる緊張を覚えてしまう。

 こうなってはもはや逃げることも、今さら逃げればあとでもっと気まずく恥ずかしい思いをすることも理解しているので、ここから逃亡しようとは思っていない。だがこの恥ずかしい感情と反応を少しでも紛らわせたい、という気持ちは変わらず続いていた。

「ど、どうしてこんなに荷物が少ないんですか……っ?」

 紗夜が早口で訊ねると、和季の動きがぴたりと止まる。

 けれどこれは、実はこの部屋へ足を踏み入れた瞬間からずっと気になっていたことだ。

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