S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 熱を帯びた指先にぎゅっと手を握り込まれたことに照れて黙り込む紗夜だったが、和季は紗夜がなにも言わないことに別の理由を見出したらしい。

「まさか、紗夜は久々じゃないのか?」

 眉間に皺を寄せた和季が不満そうな表情で訊ねてくるので、あらぬ誤解をさせてしまったのだと――紗夜は『久々ではない』と思われていることに気づき、慌ててふるふると首を振る。

 紗夜の否定を確認すると、一瞬だけ低下した彼の機嫌がすぐに元に戻って「そっか、よかった」と頷かれた。

「今から紗夜を抱くのは、俺だ」
「和季さん……」

 和季の低い声が腰の奥にずくりと響く。過剰なほどに甘い独占愛が心と身体を支配し、紗夜の自由を奪おうとする。

 いつも優しい声と笑顔で紗夜を導いてくれていた和季が、その優しさをかなぐり捨ててしまったら、紗夜はどうなってしまうのだろう。

 穏やかに愛を育む恋人同士ではなく、嫉妬心と所有欲を剥き出しにした和季と本能のままに繋がって、果たして紗夜は無事でいられるのだろうか。

 そんな想像にふるるっと背中を震わせていると、至近距離から紗夜の表情を見つめた和季が、ふと「なぁ」と声を発した。

「紗夜の好きな男って、俺だったりする?」
「……!?」

 和季の突然の問いかけに驚き石のように固まる。声は一切出なかったが、まさかこれほどストレートな質問をされるとは――紗夜が必死に隠してきた本心をすばり言い当てられるとは思ってもおらず、目を見開いたまま動けなくなってしまう。

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