S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
数メートル離れてほしい
愛の行為が終わっても注がれ続ける熱烈な視線にどう反応すべきかわからず、そのまま固まってしまう。するとシーツに腕をついて力を入れた和季が、それまで落としていた腰をぐっと引き上げた。
「んぅ……」
濡れた音とともに熱の塊が抜け出る感覚に、思わず声を漏らしてしまう。
するとその声を聞いた和季が手を伸ばして、紗夜の頭をくしゃりと撫でてきた。
頭を撫で続ける和季を見上げると、目が合った彼がそっと表情をゆるめる。
「紗夜、俺と付き合ってくれ」
「!」
和季のストレートな告白に再び動きが止まり、呼ぼうとしていた名前も喉の奥に溶け消える。
先ほど抱き合っている最中にも同じことを言われたが、またも和季が紗夜への愛を重ねて、交際を求めてくる。
まるであちこちに話題を散らすことで紗夜の思考を乱しつつ、合間に本当の望みを混ぜ込むことでうっかり頷かせようとしているみたいで、油断がならない。
紗夜が押し黙ると、和季が少し困ったような笑みを浮かべた。
「ずっと、後悔してたんだ」
和季の唇から零れた一言に、ぴく、と反応する。その台詞を聞いた瞬間は『紗夜の希望に従ってあっさりと別れたことを後悔している』という意味だと思ったが、実はそうではないらしい。
「最初からあんな社則なんてなければ、紗夜と堂々と付き合えた」
「ど、堂々とは、無理だと思いますけど……」
和季が苦々しい表情で吐露した心情に、思わず反論してしまう。