S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

(でも今日は……今夜は……)

 けれど紗夜は今日、ここまで引き延ばし続けてきたハードルを一つ飛び越えなければならない。今夜の紗夜には、いつもの週末とは違う時間が待っているのだ。

 ――きっかけは和季の部屋で彼と一緒に見た、とある恋愛映画だった。

 数年前に流行して話題になっていたその映画に〝ベッドシーン〟があることは、実際に観てその場面に至るまで、紗夜はまったく知らなかった。

 登場人物たちが裸になって睦み合い始めたとき、紗夜は画面のどこを見ていいのかわからず、そわそわと視線を泳がせるしかなかった。

 そんな紗夜の異変に気づいたのか、和季が紗夜の横顔を眺めてにやりと微笑んだ。

 付き合い始めたときに紗夜には異性との交際経験がないことを伝えていたはずだが、最初はあまり深く考えていなかったらしく、そこではじめてこの挙動不審の意味に気がついたらしい。

『そっか、紗夜はセックスもしたことないのか』
『セッ……露骨すぎでは……!?』
『他になんて言うんだよ』

 ストレートな確認をしてくる和季に焦った声を出すと、和季が訝しげな表情を浮かべる。

『保健の教科書にセックスって書いてんだからセックスでいいだろ。正式名称だ』
『そうですけど、連呼しないでください……っ』

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