S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 たった四文字だが、紗夜には耳慣れなさすぎるし刺激が強すぎる単語だ。

 だからそれ以上言わないで、と耳を塞いで縮こまると、ソファの隣で楽しそうに笑った和季が、ぐいっと紗夜の肩を抱き寄せてきた。

『興味ある?』
『……っ』
『はははっ、紗夜はほんと可愛いなぁ』

 端的な質問に言葉を失って固まると、和季が嬉しそうに笑い始める。

 この場合の『可愛い』が褒め言葉じゃないことを察したのでプイッとそっぽを向くと、和季がごめんごめんと紗夜の頭をぐりぐり撫で回してきた。

『わかった、じゃあ俺が教えてやる』
『へ……』
『いつがいい? 今夜でもいいけど、心の準備したいだろ』
『えっ……えっと……』

 和季が唐突に提案して、さらにどんどん話を進めていくので、先ほどとは違う意味で狼狽えてしまう。
 
 正直、興味はある。もちろんある。

 奔放な姉と自由な弟に挟まれて育った紗夜は、きょうだいのバランスを取るかのごとく真面目すぎるほど真面目な選択ばかりしてきたせいか、友人たちと比べても極端に恋愛経験が乏しい人生を送ってきた。

 だが恋愛にも男女のあれこれにも人並み程度に興味があるし、いつかは自分も経験してみたいと思っていた。

 和季がこの手を取ってくれたことで、紗夜は今、はじめての恋愛の真っ只中にいる。

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