S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 和季がテディベアのチャームを使いたがるとは思っていなかった。だが紗夜は、実際に使わなくてもいいから、これも彼にプレゼントしたい、と思った。

 理由はきっと、ころんと可愛いフォルムとなぜかキリッときめ顔の表情、そして首に巻いている黄色のリボンの組み合わせが、なんとなく和季っぽい、と思ったからだ。

「へえ、可愛いな。どこにつけようかな」
「え? あの、別につけなくていいんですよ……?」

 テディベアのチャームをしげしげと眺めた和季が意外なことを言うので、慌てて手と首を振る。

 紗夜が勝手に『和季さんみたい』と思って購入しただけで、どうしても和季にこれを使ってほしい、とは思っていなかった。

 気が向いたらどこかに飾っておいてくれればいいし、なんなら『紗夜が使えばいいよ』と突き返される可能性すら想像していたので、まさか和季が使うと言い出すことは考えていなかった。

 しかし和季は紗夜の想像を超える笑顔で、おまけのテディベアチャームも喜んでくれる。

「チョコも大事に食うし、チャームも大切にするよ。ありがとな」
「……はい」

 日頃の感謝と秘めた愛情を込めてバレンタインチョコを渡したはずが、チョコ以上に甘い笑顔を返されて驚いてしまう。

 紗夜は今日も、和季に甘やかされてばかりだ。

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