S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 チョコレートは和季のために用意したものだったが、食後のデザートだと言って、紗夜の口にも金箔がのった四角いチョコが放り込まれた。

 ソファに移動しそれをもぐもぐと頬張っていると、隣から和季の深いため息が聞こえる。

「それにしても本当に厄介だよな、あの社則。おかげで紗夜からチョコもらえないかと思って、すげー焦ったじゃん」

 和季がハートの赤いチョコを摘まみながら文句を言うので、紗夜も口の中のチョコをごくんと呑み込んでから、そっと首を傾げた。

「たしか、先代社長のご夫人が作られた規則でしたよね」
「ああ」

 株式会社ルミリュクスと系列である株式会社アカリリホームズが『社内恋愛禁止』という規則を掲げたのは、先代、つまり和季の祖父が代表取締役社長だった時代だ。

 そもそもルミリュクスの前身は、和季の祖父が営んでいた工務店と、和季の祖母の兄が営んでいた輸入雑貨のセレクトショップを統合して作った『明里インテリア』という会社であった。

 その明里インテリアが事業規模を拡大し、ルミリュクスへ社名を改めて社員を一気に増やした頃に、祖父が〝やらかして〟しまった。

 新しく入ってきた若い女性社員と社内で『おいた』をしてしまい、しかもその現場を祖母に直接目撃される、という最悪の状況に陥ったのだ。

 スキャンダルが発覚した際、祖父と相手の女性は、その場で祖母に素直に謝罪をすべきだった。

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