S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
だが相手の女性は地方ではそこそこ名のある地主のお嬢さんだったらしく、祖母に叱責されたことでプライドが傷ついたのか、謝罪どころか一歩も引かずに祖母に食って掛かった。その反論が起爆材となり、ルミリュクスの新しい社屋は瞬く間に修羅場と化した。
後に女性が祖父母に暴言を吐いて逃げるように会社を辞めたことで、どうにか事態は収束した。
だが怒りが収まらない祖母は祖父を激しく追及し、最終的に二度と同じ過ちを繰り返さないようにと『社内恋愛禁止』の掟を掲げたことで、一応の手打ちとなった。
その特大スキャンダルからすでに五十年近くが経過している。だが社長が息子に代わり、さらにその息子である和季たち兄弟も経営陣に加わろうという時代になってもなお、この『社内恋愛禁止ルール』は続いている。
もちろん息子にも、孫の和季たちにも、当然だが他の社員たちにも、一切関係のないスキャンダルが発端だ。しかし今なお祖母が会社の動向に目を光らせているため、そして『身内のやらかし』が原因であるため、経営者側から『ルールを変えよう』とは言い出しにくいのだろう。
「労組から働きかけてくれれば動くきっかけにもなるんだが、役員が年配か新人に偏ってんのがなー……」