S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
眉間に皺を寄せた和季が「あー」だの「うー」だの唸るので、思わずくすくすと笑ってしまう。
「けど、うちには社内恋愛禁止のルールがあるもんな。あの規則があれば、とりあえず社内では安全か」
「それ、矛盾してませんか?」
「してるよな。まあ、自覚はあるよ」
先ほど自分で『厄介な社則だ』と言ったのに、その舌の根の乾かぬ内に『社則のおかげで安全』などと言う。
盛大な矛盾は和季本人も自覚しているらしく、紗夜の指摘に苦い笑みを浮かべていたが、すぐに考え方を変えたようだ。
「ルールを廃止したら堂々と付き合えばいいし、ルールがあるうちは隠れ蓑にさせてもらえばいい。ポジティブな考え方だろ?」
「ふふふ、そうですね」
「まあ、職場で会えないぶん、家で会う機会はもう少し増やしてもいいかもな」
「!」
そう言った和季がにやりと笑って、紗夜の肩を抱く指先に力を込めてくる。
直前までの真面目な報告はとりあえずここで終了らしく、それよりも今夜は優先すべきことがある、と言わんばかりに唇を奪われる。
「ん……和季さ……」
「可愛いな、紗夜」
優しい口づけと甘やかな褒め言葉に、とろりと視界が霞む。
和季のキスはいつも丁寧だ。初心者の紗夜でも頭がふわふわして心地よいと感じるほどなので、きっと女性の扱いがとても上手なのだと思う。