S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 けれど今日はここで終わりじゃない。紗夜は今夜、和季に『この先』を教えてもらうのだ。

「ソファだと狭いな。ベッドに移動しようか」
「! ま、待ってください」

 紗夜の身体を抱いて立ち上がろうとした和季を、慌てて制止する。

 紗夜がぱたぱたと手足を動かすと和季が腕の力をゆるめてくれたので、一度彼の上から降りる。

 だが紗夜は今さら嫌になったわけでも、もちろん逃げたくなったわけでもない。むしろその逆だ。

 いつも荷物を置かせてもらっているダイニングチェアの上に、おでかけ用のミニバッグとお泊りセットが入ったトートバッグがのせてある。

 そのトートバッグの中を探って、先ほどのチョコレートの箱よりもふた回りほど小さな黒い箱を取り出すと、隣にやってきた和季の胸に押しつける。

「あの……これ……!」
「……は?」

 胸に押しつけられた箱を見下ろした和季は、すぐにその正体と意味に気づいたらしい。

「もしかして、ゴム買ってきたのか?」
「……。……はい」

 和季の質問に、顔から火が出そうな心地のままどうにか頷く。

 男女のあれこれの経験がない紗夜は、今夜を無事に乗りきるために、事前に色んなことを調べて様々な準備をしてきた。

 もちろん概要は義務教育で習っていたが、必要な準備や実際の流れをすべて知っているわけではないので、実践に則した知識を得る必要があった。

< 160 / 304 >

この作品をシェア

pagetop