S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
「ま、まさか……そのためにルールを変えたんですか!?」
「ああ」
紗夜の確認に、和季が当然だと言わんばかりに深く頷く。
「紗夜が言ったんだろ。『どうしても規定違反に罪悪感を覚えてしまうので、この関係は終わりにしましょう』って」
「……!」
「困らせたくなかったから、一旦は受け入れた。でも諦めたわけじゃない。元々意味不明だと思っていたが、紗夜と堂々と付き合うためには、あの社内恋愛禁止の社則がとにかく邪魔だった。だから俺は、ルールを変えた」
当時の台詞を一言一句違わずに覚えていることにも驚いたが、それ以上に、紗夜の一言をきっかけに本当に社則を変えてしまったことに驚く。
たしかにそう言った覚えはある。だが二か月前に役員に就任したばかりの和季が真っ先に着手したことが、まさか社内恋愛規定の改正だなんて。
――否、本当は予覚があった。
二年前、交際していた和季に紗夜から別れを切り出したときも、最初は『俺は別れたくない』『別れるつもりはない』と拒否された。
最終的には紗夜の希望を酌んでもらい、和季に折れてもらう形で決着したが、その後も無言の訴えを感じることがあった。