S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 そして色々と調べているうちに、男女の営みに必要な避妊具には種類があること、コンビニエンスストアよりもドラッグストアの方が種類が多くて少し安く買えることを知り、早めに購入して準備しておいたのだ。

 紗夜の手から黒い箱を受け取った和季が、その場にがっくりとしゃがみ込んで長いため息をつく。

「こういうのは、男が用意するんだよ」
「えっ? そ、そうなんですか!? すみません……私、なにも知らなくて……」
「いや、責めてるわけじゃないんだ。ただちょっと……一気に色々想像したせいで、理性が……」
「?」

 呆れた紗夜があわあわと返答すると、和季が「ふー……」とさらに長い息を吐き出す。

 理性が、と呟いたきりなにも言わなくなってしまったのでさらに焦った紗夜だが、じきに気を取り直したらしく、和季がその場にすっと立ち上がった。

 それから紗夜の腰を引いて優しく身体を抱きしめると、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。

「いつでも止めてやるから、痛かったり怖かったりしたら、すぐに教えてほしい」

 和季が宥めるように囁いてくれるので、こくりと頷く。

 和季の背中に手を回して、ぎゅっと力を込める。すると和季がそれ以上に強い力で紗夜を抱き返してくれて、耳元で魔法の呪文のように愛を囁かれた。

「最初で最後の男が俺でよかった、って思わせてやるから」


 ――このときは和季の言葉の意味を、半分しか理解できなかった。
 
 紗夜がもう半分の意味を理解するのは、ここから二年半後の話だ。

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