S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
第3章 愛の重さ
1グラムの恋心
室内はエアコンが効いていて涼しく快適なはずなのに、やけに身体が熱く火照って、じっとりと汗ばむように感じられる。
原因はわかっている。紗夜は目の前に広げた参考書と問題集に集中したいのに、隣で胡坐になった和季が勉強の邪魔をするように、何度も紗夜に話しかけてくるからだ。
「紗夜、今日は出かけないのか? もし出かけるなら、俺も一緒に行くけど」
「……出かけません」
和季が再び外出に誘ってくるが、紗夜はむぅっと頬を膨らませるしかない。
もちろん大好きなアンティークショップ巡りや展示会巡りをして、カフェでゆっくり過ごしたい気持ちはある。
けれどもし出かけるなら、和季相手に緊張することがないよう一人で出かけたい。いや、そもそも今日の紗夜には、やらなければならないことがある。遊んでばかりはいられないのだ。
「今日は、資格の勉強をする日です」
「へえ、休みの日に勉強してるのか。えらいな」
紗夜が淡々と答えると、和季がにこりと笑って紗夜を褒めてくれる。さらにカーペットの上についていた手を浮かせ、その手で紗夜の頭をぐりぐりと撫でてくれる。
少々乱雑なスキンシップと褒め方ではあるが、和季の笑顔に喜びと照れくさい気持ちがほわっと芽生える。こうして優しく褒められるだけで、エアコンの涼しさを打ち消すほどにまた体温が上昇してしまうのだ。