S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 あれから二年――最初にそう教えてもらったのは指導が始まってすぐの頃だったので、もう三年が経過しているが、今でも素直に自己研鑽に励む紗夜を『応援したい』と思ってくれたのだろう。

 和季の厚意を疑うのは失礼だったかも……と密かに反省していると、和季が「あ」と小さな声を発した。

「ちょっと待っててくれ」

 そう言って立ち上がった和季が紗夜に背を向けてすたすたと歩き出し、そのまま紗夜の家を出ていく。待ってて、ということは、一応またここへ戻ってくるつもりなのだろう。

 正直、和季がすぐ傍にいると緊張のあまり勉強に集中できない。たとえ話しかけられなくても存在を意識してしまって、どうしてもそわそわしてしまう。

 だから一瞬、不意打ちでやってきてそのまま紗夜にべったりとくっついていた和季が自ら部屋の外に出てくれたのなら、そのまま鍵を閉めてもう入ってこれないようにすればいいのでは? と思った。

 もちろん、本当はここより広くて涼しくて快適なマンションを所有している和季が『少しでも紗夜と一緒に過ごしたい』と思って、わざわざ別宅であるこちらの部屋に滞在してくれていることはわかっている。

 ならば完全遮断するのは、いくらなんでも可哀想かも……と考えているうちに、あっという間に和季が部屋に戻ってきた。

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