S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 紗夜の質問が不満だと言わんばかりに息をつく和季に、そんな大袈裟な……と呆れた気持ちを抱いてしまう。

 しかしよくよく考えてみたら、付き合っていた約三か月の中で紗夜から和季にプレゼントしたものは、バレンタインのチョコレートとこのテディベアのチャームの二つだけだった。

 食べ物を粗末にするような人ではないので、チョコレートは賞味期限内に食べきってしまったはずだ。となるとこのチャームは、紗夜が贈った唯一の『手元に残っているもの』なのだろう。

 だがまさか、ペンケースにつけて後生大事にしているとは思わなかった。とうの昔に捨てられているか、捨ててはいなくてもどこかへ仕舞いこまれて、そのまま存在を忘れられていると思っていたのだ。

「これも貸してやりたいところだけど、こっちは俺の宝物だからなぁ」
「え……た、宝物って……」

 ペンケースを持ち上げ、自身の目の前でチャームをゆらゆらと揺らした和季が、ごく当たり前のようにそう宣言する。

 和季の手の動きに合わせて揺れるテディベアと同じように紗夜の声も震えてしまうと、動揺に気づいた和季がにやりと笑って話を急に打ち切った。

「まあ、鉛筆は貸してやるから。試験、頑張れよ」

 和季に横目で見つめられ、また心臓がどくりと跳ねる。だがこれ以上和季のペースに乗せられてはいけない、と思い、素直にお礼を伝えることにする。

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