S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

微糖と無糖の2グラム


 給与計算システムに表示された数字をデータ管理システムへ打ち込む手を止め、本日何度目になるかわからないため息をつく。

(はぁ……だめだな、私)

 しっかりしなきゃ、と思うのに。
 理性的になるべきだと思っているのに。

 今がよくてもいつか絶対に離れ離れになることは、わかっているのに。

(結局、和季さんに惹かれてしまうなんて――)

 この二年間、仕事で些細なやりとりをする以外、和季と接する機会はほとんどなかった。だから自分を律することができていたし、その期間で和季との甘やかな思い出を上手に忘れられたと思っていた。

 けれど違う。忘れていたわけじゃない。もう一度和季に惹かれたわけじゃない。

 紗夜はきっと、あれからずっと和季のことが好きだった。忘れてなんていなくて、嫌いになってもいなくて、だから他の人と恋をする気にもなれなかった。

 紗夜も和季と同じように、二年間ずっと同じ想いを秘め続けていたのだ。

(本当は、和季さんの気持ちが嬉しい)

 和季がまた紗夜に『好きだ』と言ってくれることが嬉しい。社則を変えてまで『付き合いたい』と望んでくれることが嬉しい。その気持ちに偽りはない。

 だがどうしても腑に落ちないこともある。

(和季さんが嘘をついているとは思えないけど……)

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