S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

「せ、瀬戸くん……!?」

 突然現れた陽太に驚きながら名前を呼ぶと、視線をこちらに向けた彼がにやりと微笑む。

 紗夜が「お疲れさま」と労うと、「お疲れ」と返してくれた陽太が腰を屈めて、取出口からミニサイズの缶ボトルコーヒーを拾い上げた。

 今日は紗夜も残業だが、おそらく陽太も残業なのだろう。同じように飲み物を求めてやってきたと思しき彼をしばし呆然と見つめてしまうが、数秒遅れてハッと我に返る。

 そういえば紗夜は陽太に、謝らなければならないことがあったのだ。

「瀬戸くん、この間、本当にごめんね……!」

 一週間ほど前、ランチタイム中に陽太から声を掛けられた紗夜は、その場で仕事終わりに陽太と食事に出かける、という話になった。

 だが和季のやや強引な阻止作戦のせいで約束を直前でキャンセルすることになり、陽太に迷惑をかけてしまった。

 もちろん翌日改めてメッセージを送って、もう一度丁寧に謝罪を重ねている。だがあれから陽太に会う機会に恵まれていなかったので、直接は謝罪を伝えられていなかったのだ。

 目を瞑って口の前で手のひらを合わせ『ごめんなさい』のポーズをすると、陽太がくすりと笑う。

「いや、全然。それより深田、体調は平気なの?」

 陽太に訊ねられ、心の中で「う」と唸る。

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