S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
興奮気味で同僚に報告している女性の一言に、紗夜の足がぴたりと止まる。心臓がドクンと大きな音を立てる。
明里常務の婚約者――そのフレーズは、紗夜の思考に鈍器で殴られたような強い衝撃を与えた。
「えっ、ほんとに……!?」
「本当! しかもその人、めちゃくちゃ美人だった!」
「!」
紗夜と同じく同僚から報告を受けた女性もかなり驚いたようで、表情を歪めながら問い返している。
それに対する女性の回答は、紗夜にとってはさらに衝撃的なものだった。
「エレベーターに乗っちゃったから詳しくはわからないけど、ちゃんとアポあるっぽかったよ」
「そ、そうなんだぁ……」
二人の会話内容から、その女性が一方的にルミリュクスへ押しかけてきて、勝手に重役の婚約者を名乗っているわけではないと知る。
女性社員の方はやってきたその女性が受付嬢にアポイントメントの確認をしてもらっている間にその場を離れてしまったが、面会予定は間違いなく入っていたらしい。
「そっかぁ~~常務には結婚相手がいるのか~~」
「でもまあ、それはそうよね。アカリの御曹司で、仕事もできて、あんなにかっこいいんだもん」
明里和季の婚約者が出現した、という情報に落胆の様子を見せる女性たちだが、紗夜の驚愕は二人の比ではない。