S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
焦りと不安が少しずつ増していくように、和季の機嫌と声も徐々に低くなってくる。すべてを拒絶する紗夜の態度が面白くない、とでも言いたげに、はっきりとした声で責めるように名前を呼ばれる。
それでも、和季から離れるべきだ、と思う紗夜の考えは変わらない。
ならばこれ以上話すことはない、と判断した紗夜は、もう一度腕を突っ張って、和季の拘束から逃げ出そうとした。
しかし力を込めようとしたその刹那、頬に触れていた和季の右手も動き出す。
するりと下へ移動した細長い指にくいっと顎先を持ち上げられ、強引に上を向かされる。それと同時に和季の顔との距離が急激に縮まり、唇に熱い温度が押し当てられた。
「っ……ぁ……」
口づけられていると気づいたのは、重なった唇がそっと動いて、乾いた表面が静かに擦れ合ったからだ。
びっくりして思わず目を見開くが、紗夜の視界からは和季の表情のすべてを捉えることができず、彼の意図は読み取れない。
「……んぅっ……ふ」
突然のキスに身体がびく、と硬直する。だが和季は気にせず、薄く開いた隙間から少し強引に熱い舌を挿し入れてくる。
肉厚でありつつ柔らかい塊でぬっとりと口内を撫でられたかと思うと、舌を引き抜かれそうなほど強く、ぢゅるるっと吸い上げられる。
「んん、ん……ぁぅっ」
緩急をつけた激しい口づけのせいで指先が小刻みに震え出し、手からも力が抜けていく。