S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

憂鬱と恋慕の7グラム


 和季の腕からどうにか抜け出して、脱兎のごとく小会議室から逃亡した紗夜を待ち受けていたのは、予想外の二つの出来事だった。

 一つは『対応しなきゃいけない緊急案件ができたから、今日はランチ一緒できなさそう』という莉乃のメッセージにしょんぼり落ち込みつつ、落下の衝撃で片側に寄ってしまったお弁当を一人でもぐもぐ食べていると、オープンラウンジで隣の席に座った女性三人組のうちの一人が『明日、営業の瀬戸さんとデートをすることになったんだ!』と話し始めたこと。

 最初は『営業に〝瀬戸〟って名前の人、二人いたっけ……?』と疑問に思った。

 だが首を傾げていたところに陽太の方からメッセージが送られてきて、その中を確認してみると、『ごめん、深田。得意先の人からゴルフに誘われちゃって、明日、一緒にでかけられなくなった!』と綴られている。

 しかし眉根を寄せる紗夜の隣では、女性たちが『えー! やったじゃん!』『どうしよう。着ていく服、これとかどう思う?』『瀬戸さん、可愛い系が好きそうじゃない?』『じゃあ服はこれで、下着を可愛い系にしたらどうかな?』と話に花を咲かせている。

 その瞬間、唐突に察してしまった紗夜は、『大丈夫だよ。今度は同期のみんなで飲みに行こうね』と返信して、陽太とのやりとりを半ば無理矢理終了させた。

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