S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
深いキスは4秒まで
冷めた瞳で紗夜を見下ろした和季が、腰に回した腕に力を込める。頬を撫でていた指先はいつの間にか紗夜の手首を掴んでおり、強い力でそこを引っ張られる。
リビングルームの中央には、アイボリー色のローテーブルと黒いソファが置かれている。どちらも一人で使うにはやや大きいサイズだが、自社が手掛ける人気シリーズということもあり、和季も長く愛用しているらしい。
革張りのソファは最新のモデルに変わっているが、ローテーブルは紗夜が最後に見たものとまったく同じだ。
だが今の紗夜には室内の変化を細かく観察する余裕などない。
「あ、あの、常務……!」
焦った紗夜が制止の声を上げても、肩からすべった通勤バッグがフローリングの上に落ちても、和季にはまったく止まる様子がない。
真新しい黒革のソファに近づくと腕を掴む力は緩めてもらえたが、それと同時に今度は急に身体を押されてしまった。
「わっ……!」
バランスを崩して身体が浮いた瞬間、思わず大きな声を上げてしまう。
だがソファに尻もちをついた際に腰の辺りに小さな衝撃を感じただけで、他には一切の痛みを感じない。
ただし、心臓には強い衝撃があった。紗夜を押し倒した和季がそのまま上から覆い被さり、紗夜の唇を奪ってきたからだ。