S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
愛の重さ -two years ago-
風が強く吹き抜けると肌寒さを感じることはあるが、スプリングコートを羽織れば快適におでかけができるようになってきた、三月の第二土曜日。
「変じゃない……かな……?」
ショーウインドウに映り込んだ自分自身と睨めっこしつつ、新調したばかりのワンピースのプリーツを確認する。
ついでに珍しくゆる巻きにしたヘアスタイルと、これまた珍しく明るいピンク系メイクの顔もチェックし、よし! と意気込む。
和季と外でデートをする機会はめったにないので、どうしても緊張してしまう。
もちろん、会社の人に見られるのではないか、という不安もある。だがそれ以上に、張り切っておしゃれした姿を和季にどう思われるかが気になって仕方がない。
仕事中の紗夜はいつもシンプルなメイクと縁の太い眼鏡、服装もスーツスタイルばかりなので、いつもの格好とデートのときの格好の落差を変に思われないか、と心配ばかりが募るのだ。
そわそわしながら本日の装いの最終確認をすると、指定された商業施設内の待ち合わせ場所へと向かう。
社内恋愛が禁止されている以上、堂々とデートをするのは難しい、と考えてしまう紗夜と異なり、和季はいつも驚くほど堂々としている。
『コソコソ隠れると逆に怪しまれるだろ』『もし会社の奴に会ったら〝一般参加可能な講習会を受けていた〟とか〝勉強熱心な後輩に頼まれて参考書を探しにきた〟とか、適当にはぐらかしとけば平気だって』などと平気で言い放つ。