S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 それでも外でのデートよりは家でのデートを選び、たまに出かけるときもこうして会社から離れたエリアや商業施設、郊外のモールなんかを選んでくれるあたり、彼も紗夜の不安や心配に配慮してくれているのだろう。

 飄々としているようで紗夜の気持ちにも寄り添ってくれるところが、和季の優しさの表れだと思う紗夜だ。

 エスカレーターを使って駅に隣接する商業ビルを一階ずつ登っていくと、目的階の吹き抜けの向こう側に、見慣れた男性の後ろ姿を発見する。

(あ。和季さん、いた)

 いつものスーツスタイルも彼の長い脚や引き締まった体躯を引き立てていて素敵だと思うが、細身のスラックスと薄手のコートを合わせた私服も魅力的でかっこいい。

 付き合い始めて数か月が経過したというのに、未だに彼が自分の恋人だということが信じられないほどだ。

 顔を見なくても背格好だけで和季とわかってしまう紗夜だが、エスカレーターを下りてガラス張りの吹き抜けを迂回するように歩いているうちに、ふと意外な事実に気がつく。

「あれ?」

 背の高い和季の陰になっていて最初は気がつかなかったが、よく見ると和季の目の前にもう一人、誰かがいる。

 さらに近づいてみると、和季ほどではないが紗夜よりは格段に背の高い綺麗な女性が、和季とにこにこ笑顔でなにか話をしているとわかる。

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