S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 もしもルミリュクスやアカリリホームズに勤める社員だったらどうしよう、と思い、咄嗟に身を隠そうとした。

 しかしすっきり整った輪郭と黒髪のストレートロングヘア、可愛いというよりも格好いい雰囲気を纏ったその女性を、紗夜はこれまで社内で一度も見たことがない。和季と並び立つと絵になるほど美しい女性がいたら間違いなく認知できるはずだし、一度見たら絶対に忘れないはずだ。

「悪い、そろそろ待ち合わせの時間だ」
「ううん。助かったわ、ありがとう」

 和季と親しげに話す様子から、きっと彼女は仕事関係ではなく、プライベートの知り合いなのだろう、と思い至る。

 とはいえ油断は禁物だ。些細なミスから秘密の交際が知れ渡る、なんてことは絶対に避けたいので、少し離れた場所から様子を窺う。

「今度なにかお礼させて……って言いたいとこだけど、明里御曹司さまにお礼となると、なかなかハードルが高いのよねぇ」
「別にいいって」

 どうやら女性は、和季になにか恩があるらしい。ゆえにその恩返しをしたいと考えているようだが、財力に事欠かない明里家の御曹司である和季への返礼には少々頭を悩ませてしまうようだ。

 内心、紗夜も『それ、わかります……』と思ったが、当の和季はひらひらと手を振ってあっさりとお礼を遠慮する。

「それにもう身内みたいなもんだろ」
「ちょっ……気が早いわよ!?」
「あはは、顔真っ赤」
「……?」

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