S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
「……私の気持ちは、変わりません」
「……。そう、か……」
紗夜がきっぱりと言い切ったことで、和季が落胆の台詞を零す。ようやく紗夜の気持ちが伝わったのだろう。
これで終わりだ、と考えた紗夜は、ソファからそっと立ち上がろうとした。
だがそれよりも一瞬早く、和季が指先に力を込める。
「わかった。――それなら『社内恋愛禁止』のルールをなくせばいいんだな?」
「……え?」
和季の低い声に反応して、ハッと顔を上げる。すると和季が再び紗夜の顔を覗き込んで、真剣な声で言い募った。
「元々、あんな規則は不要だと思っていた。だから俺が、全部なくしてやる」
「なにを……言って……?」
意味がわからない。理解ができない。
社内恋愛禁止の社則を変えたところで、和季が結婚するという事実はなにも変わらないはずだ。
なのに和季はなぜか自信満々に紗夜の腰を抱き、反対の手でそっと頬に触れてくる。そんな和季を唖然としたまま見上げてしまう。
「俺は、絶対に諦めない」
和季が頑なに態度を変えない理由は、きっと紗夜が『社内恋愛禁止の規定が問題だ』『他に理由はない』と告げたからだろう。
それさえクリアすればまた紗夜に触れられる、と言わんばかりの鋭い視線と口調に、ふるっと背中が震える。
「っ……帰り、ます」
「紗夜」