S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
第4章 独占愛が甘すぎる
甘やかな過保護愛
和季の腕に身体を包み込まれてトントンと背中を撫でられると、そのあたたかさにほわりと眠気を覚える。
本当はこのまま夢の世界へ落ちてしまいたいところだが、ここで眠るわけにはいかないだろう。
「あの……和季さん……」
目の前のTシャツをぎゅっと掴んで名前を呼ぶと、和季が首を傾げながら紗夜の顔を覗き込んできた。
「助けてくださって、ありがとうございました」
「ああ、紗夜が怪我しなくてよかった」
「はい。でももう平気なので、下ろしてほしいんですけど……」
「まだこのままでいいだろ」
「……」
やはり和季は、絶対に紗夜を離さないつもりらしい。
たしかに、車に轢かれかけたことに動揺したせいか、恐怖を感じた紗夜の手足は、しばらくの間ふるふると震えて続けていた。
しかしあれからすでに二時間が経過しており、不安はかなり落ち着いてきている。
だが紗夜を自宅に連れ帰り、紗夜が入浴している間にデリバリーで食事を用意し、自らの手で紗夜の髪を乾かし、さらに自身の腕の中に紗夜を閉じ込めて雛鳥を守り育てるように食事を与えても、和季はまだ満足していないらしい。
丁寧にお礼を言っても、何度遠慮しても、遠回しに文句を言っても、手足をばたつかせて必死に逃れようとしても、和季は絶対に離してくれない。