S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
乱れた呼吸を懸命に整えていると、ソファの上で紗夜に跨った和季が、ごく、と喉を鳴らす。
彼の喉仏が上下する様を間近で見つめてしまった紗夜は、そのまま静かに言葉を失った。
「……耐えられないな」
「……え?」
「紗夜を……誰にも、触らせたくない」
和季がなにかをぽつりと呟くが、声が小さかったせいか上手く聞き取れない。
紗夜が首を傾げると、和季がはぁ、と大きく息をついてその場に身を起こした。
ただしソファに膝立ちになり、その膝で紗夜の脚を挟んだ体勢は先ほどとなにも変わっていないため、和季の下から這い出ることはできない。
未だ整わない呼吸をどうにか落ち着けるため、まずは心を落ち着けようと自分で自分に言い聞かせる。
そんな紗夜の目の前で、なぜか和季が着ていたジャケットを脱ぎ、さらに締めていたネクタイも緩め始めた。
「!? え……な、なにを……?」
残業をしていた紗夜と同様、和季もそれなりに遅い時間まで仕事をしていたようで、実は帰ってきてからまだそれほど時間が経過していないらしい。
きっちりと整ったスーツ姿を崩すようにジャケットを脱ぎ、さらにネクタイを外していく姿にただならぬ色気を感じるが、緊張に声を詰まらせている場合ではない。