S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 しかもこれまでの人生で男性と付き合ったことがない紗夜と異なり、和季はそれなりの恋愛経験を積んだ大人の男性だった。

 さらに明里家の御曹司である彼が『将来を考える女性』に求める条件が相当厳しいことも、その条件を自分が満たしていないことも、理解してるつもりだった。

 和季が紗夜を選ぶはずがない。
 紗夜との『結婚』なんて考えるはずがない。

 ――そう思っていたからこそ、和季の口から『将来を考えている』という言葉が出たとき、その相手が自分だとは到底思えなかったのだ。

 だが和季は『本心だ』なんて、冗談みたいなことを真剣な表情で告げてくる。

「たしかに、恋人として付き合ったのは三か月だった。けど俺は、一年も紗夜のことを傍で見てたんだぞ」
「……和季さん」
「それだけ一緒にいれば、十分わかるだろ」

 紗夜の良いところも、自分の気持ちも。――そう付け加える和季が切ない表情で紗夜を見つめるので、また胸がきゅぅっと甘く疼く。

 紗夜が好きだ、大切にしたい、と囁かれているようで、顔だけでなく耳まで熱く火照り始める。

「いずれプロポーズするつもりだった。社則があるからすぐには無理だと思ってたが、俺が異動になっても付き合いは続けて、取締役に就いたら速攻でルールを変えて、準備ができたらすぐにでも求婚する気でいた」
「……っ、和季さ……」
「なのに『別れたい』って言われて、本当に頭が真っ白になった」

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