S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
「どっかの誰かさんと一緒で、普段は高いヒールなんて履かない奴なんだよ。でも兄貴のために、頑張ったんだろうな」
「か、和季さんの……お兄さん……?」
紗夜の問いかけに和季が静かに頷く。
「あいつは、兄貴の婚約者だよ」
「!」
和季の宣言に目を見開いたまま固まってしまう。
なんとあの美しい女性は、和季の婚約者ではなく、和季の兄の婚約者。彼女が会いに来たのはルミリュクスの副社長――明里 唯人だと言うのだ。
にわかに信じられず言葉を失ったまま硬直していると、その表情を確認した和季が紗夜の肩を抱き直して、再び身体を密着させてきた。
「ミサキが高校のときの同級生だって話は、したよな?」
「え……。えっと……はい」
「俺が生徒会長だったときに、あいつが副会長だったんだ」
「!」
高校時代に和季が生徒会長を務めていた、という話は初耳だったので、またしても驚いてしまう。
以前から人の上に立ち人を導く姿がよく似合うとは思っていたが、どうやら和季は学生時代から『明里和季』だったらしい。
想像以上に想像通りすぎて、紗夜はぽかんと口を開けたまま固まるしかない。
そして和季が学生たちをまとめる『生徒会長』を担う間、例の女性が彼の補佐である『生徒会副会長』を務めていたらしい。なんという美男美女の生徒会役員だ。