S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
S系彼氏の独占愛
和季の寝室のベッドからは彼の匂いがたくさん感じられる。
もちろん紗夜の隣の部屋にあるまだ真新しいベッドからも和季の匂いはするが、ここではより強く彼の存在を感じることができる。
薄明かりの中でシーツに身体を横たえられて、二人分の体重を受けたマットレスが深く沈み込むと、和季の姿以外はなにも見えなくなる。
頭の中と胸の中が恋焦がれていた存在でいっぱいになると、彼自身もそれをよくわかっているように優しく微笑んでくれた。
「嬉しいな」
紗夜の顔の横に腕をついた和季が、自身の感情をありのまま表現するように、ふとそう呟く。
「紗夜の表情、この間とまったく違う。前も触れさせてはくれたけど、なんとなく不安がってたし、身体に力が入って緊張してただろ」
この間、というのは、体調不良を装っておびき出すという和季の罠にかかり、その後、彼の部屋で肌を重ねたときの話だ。
どうやら和季も、本心では紗夜が納得しきれていないことや、その状態で和季に身を預ける不安の感情を察していたらしい。
「でも今日はリラックスしてる。表情はやわらかいし、目もとろんとしてて、気持ちよさそうだ」
「……和季さん」
「まだ寝るなよ?」
くすくすと笑いながらからかってくる和季だが、実は紗夜も、内心似たような感想を抱いている。
(和季さんも、今日は嬉しそう)
どこか焦ったような様子で紗夜に触れていた前回と違い、今夜の和季は口調にも表情にもなんとなく余裕がある。