S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 よってルミリュクスの社員向けに、副社長夫人となる女性を紹介する『婚約発表パーティー』を催すことで、披露宴への参加人数を調整する、という方法を取ったらしい。

 そのため今夜このホールには、唯人の結婚発表を祝うルミリュクスやアカリリホームズの社員たちが溢れている。

 改めて『気前がいいなぁ』と呑気なことを考えながら、オリーブグリーンのパーティードレスに身を包んだ莉乃の顔を見上げる。

 すると紗夜と目が合った彼女が、くすっと微笑んだ。

「常務のときはもっと盛大かしら? なんて言ったって、相手もうちの社員だもんね」
「う……ごめんね、莉乃ちゃん……。ずっと内緒にしてて」
「本当よ。すんごいびっくりしたんだから」

 何度目になるかわからない莉乃のからかいに、今日もまた、しゅん、と縮こまってしまう。

 だが彼女は本気で怒っているわけではないらしくく、すぐに肩をすくめて紗夜に笑顔を向けてくれる。

 和季と気持ちを伝え合って彼との交際を再スタートさせた紗夜だが、しばらくの間はこれまでと同じ適切な距離感を保っていた。

 だが和季は、家では甘える割に職場では目が合ってもまったく反応を示さない紗夜に対して、密かに面白くない感情を抱いていたらしい。

 ある日、急にランチタイムのオープンラウンジにやってきた和季が、莉乃と雑談している紗夜に向かって『今夜は俺の部屋に来る予定だったよな?』『会議が早く終わりそうだから、夕食も一緒に食おうと思って』と言い放った。

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