S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

S系彼氏の求愛


 副社長の婚約発表パーティー終了後、合流した和季に連れられてやってきた場所は、とあるホテル内にある特別な一室だった。

 部屋のグレードと広さがセミスイートルーム相当であると聞くと、足を踏み入れることを少しためらってしまう。

 だが和季の笑顔に促されて室内に入り、設えられた家具や装飾を目の当たりにした瞬間、紗夜の気持ちは急上昇した。

「わ、わあぁ……っ」

 目の前に並ぶ貴重なアンティーク家具の数々に、呼吸も忘れて感動する。

 絨毯と壁がエンジ色で統一された広い空間に、豪華な装飾が施されたベッドやソファ、テーブルや鏡台などの家具が置かれている。さらに同じ色の天井からは煌びやかなシャンデリアが吊り下げられており、その煌めきに深い嘆息が漏れる。

 今夜はこの部屋で和季と過ごせる――そう教えられた紗夜は、荷物を運んできてくれたポーターが部屋から出て行った瞬間、踊り出しそうなほどの歓喜を覚えた。

 とりあえずバッグを置こうと長椅子に近づいた紗夜だったが、その家具にも心がときめいてしまう。

「か、和季さん……! このシェーズロングの色、すっごく綺麗です!」
「そうか?」
「この意匠、なんだろう……! ハスク? ローリエかな?」

 部屋の中央に設置された長椅子は、布地の部分のテラコッタカラーと、脚の先に施された獅子の蹄の装飾、側面に描かれたローリエの意匠が秀逸だ。ローリエは冬でも葉が落ちない常緑樹で、勝利や栄光を象徴する植物と言われている。

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