S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
「わ……ドレッサーもすごく綺麗……!」
感動しながら振り向いた紗夜の視線の先にあったのは、美しい黒檀のテーブルと、その上に置かれた鏡台だった。
きれいに磨かれた鏡の縁にも豪奢な金の装飾が施されており、横の支柱にはキャンドルを挿すための燭台も備えられている。
紗夜がアンティークショップで見かける鏡には小さな傷が入っていることも多いので、こんなにも状態がいい鏡台を見られる機会は滅多にない。
「和季さん、写真撮ってもいいですか?」
「……いいんじゃないか?」
「わあ、ありがとうございます……!」
紗夜がはしゃぎながらお礼を言うと、和季が優しい笑顔を向けてくれる。
だがバッグからスマートフォンを取り出し、カメラアプリを起動しながら顔を上げたところで、紗夜の興味はまた別のところへ惹きつけられた。
「べ、ベッドに天蓋がついてる……!」
それは部屋の一番奥にあった、ダークブラウンのベッドフレームとその上から吊り下げられた繊細なレースのカーテンだった。
艶やかな印象のデザインから、このレースのカーテンだけは違う時代のものだとわかったが、ベッドフレームは間違いなく二百年以上が経過している古いものだとわかる。博物館や資料館に置いてあってもおかしくないほどの高級調度品だ。
「このベッド、上にのってもいいんでしょうか……?」
使うために置いてあるのはわかっているが、あまりにも貴重な家具の数々に、本当に手で触れたり、座ったりのったりしてもいいものかと緊張してしまう。