S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
だが正直なところ、明確な愛の言葉を告げられるのは、もっと先だと思っていた。それどころか二度目の交際を長く続けているうちに和季の方が紗夜との関係に飽き、いずれ別れの言葉を告げられるのではないか、とすら考えていた。
だから和季の思い切った求愛に驚いてしまう。あまりに早い決断をして、いつか後悔するのでは、と不安を抱いてしまう。
「……本当に、私でいいんですか?」
その不安を素直にぶつけるように、和季の顔をじっと見上げて彼の気持ちを確認する。
紗夜はもう、和季の考えや感情を自己判断しないと決めていた。彼がそうしてくれるように、紗夜ももしなにか疑問や不安を感じときは彼の口から直接本心を確認して、あとはもうその言葉を全面的に信じよう、と固く心に誓っていた。
だから今も、和季の気持ちを素直に問う。
紗夜が頷く前ならばまだ訂正は間に合う――そう思って訊ねたが、和季の決意は一ミリも変わらなかった。
「もちろん。俺は、紗夜がいいんだ」
「……和季さん」
和季が紗夜の目を見てしっかりと頷いてくれたことで、紗夜の胸の中にほわりと温かい感情が生まれる。
あのとき紗夜の方から離してしまった手を、彼がもう一度握りしめてくれる。あのとき伝えられずに呑み込んでしまった言葉を、彼はちゃんと聞いてくれる。
だから紗夜は、和季の気持ちを信じられる。和季の言葉には偽りがないこと、いつも紗夜を大切にしてくれること、この二年半、紗夜だけを一途に愛し続けてくれたことを、紗夜も心から嬉しいと思う。だから。