S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
紗夜が誤解していたのは紗夜なりの根拠があったからだが、それでももう二度と同じ過ちは繰り返すまい、と意気込んでいる。
だが和季は、万が一また同じ状況になったときに『和季は絶対に紗夜を裏切らない』と証明するための物理的な印が必要だ、と考えているらしい。
それがこの『婚約指輪』だと教えられると、なんだか申し訳ない気分になってしまう。だが和季には紗夜が一目でこの指輪を気に入ったことが伝わっているらしく、なんだかやけに嬉しそうだった。
「紗夜……」
「ん……っ」
左手の薬指の上で煌めく指輪をうっとりと眺めていると、ふと和季が身を屈めて、紗夜の首筋に唇を寄せてきた。
ただのキス以上の強さでそこを吸われたことで、急に和季の〝スイッチ〟が入ってしまったことに気がついた紗夜は、慌てて彼の行動を制しようとした。
「か、和季さん……先に、お風呂に……!」
「だめだ。バスルームに行ったら、二時間は出てこないだろ」
「そんなこと……っぁ」
「俺はそんなに待てない」
たしかにそうかもしれない。まだバスルームがどうなっているのかは確認していないが、もしもまた珍しい家具やインテリアを発見してしまったら、そちらに興味を奪われてしまう可能性がない、とは言い切れない。
でも今夜は我慢するから、やっぱり先に汗を流して身体を綺麗にしたい――という要望すら、今の和季には聞いてもらえそうにない。
「紗夜……いいだろ?」
「……。……はい」
熱の籠った真剣な眼で見つめられながら首筋をゆるりと撫でられると、抵抗の力はあっという間に奪われてしまう。
滴る溶岩のような和季の熱にあてられると、官能の波に攫われるがまま頷くしかない紗夜なのだった。