S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

エピローグ S系婚約者の独占愛が甘すぎる


 和季と二度目のお付き合いを始めて、およそ三か月。

 二人の交際はまだ正式には公表していないものの、知っている人は知っている――というより、社内の全員が紗夜と和季の関係を知っている気がする。

 それもこれも、原因は和季の言動にあった。

「深田」
「! 明里常務……」

 社内恋愛は解禁となったが、職場はあくまで仕事をするところであり、プライベートの事情を持ち込むことは分けるべき、というのが、ごく一般的な倫理観だ。

 ゆえに会社内で和季と遭遇することがあっても、基本的には名字と役職名で呼び合うことにしている。

 ただし気をつけているのは呼び方だけで、和季は恋人を可愛がる態度をまったく変えようとしない。


 とうの昔に定時を過ぎた時間帯――。

 経理課の出入り口付近にある複合機で請求書を印刷していると、いつもように和季が紗夜を迎えにきた。

「もう帰れるのか?」
「いえ、まだこれを印刷しなきゃいけなくて……」

 和季がにこにこと笑顔を向けてくるので、ふるふると首を振りながら仕事の進捗を伝える。

 残念ながらまだ仕事は終わっていない。今日は定期の残業日ではないが、在庫管理システムに不具合が生じたせいで管理部からの報告が遅れ、その影響で請求書と納品書の発行業務にも若干の滞りが生じているのだ。

 あとはこれを印刷するだけだが、まだ完全には終わっていないし、オフィスには経理課の他のメンバーも残っている。

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