S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 ◆◇◆


「和季さんのせいで、みんなに迷惑をかけてしまうのですが」
「ごめんって。……けど、しょうがないだろ。俺だって我慢してるんだ」
「……どこがですか?」

 ようやく仕事を片付けて待っていた和季と合流すると、二人で手を繋いで和季のマンションまでの道のりを歩く。

 本当は恥ずかしいし、誰が見ているのかわからないので控えたい気持ちもあるが、和季から『紗夜と手を繋いで帰れることが嬉しい』『昔はできなかった仕事の後のデートを、これからはたくさんしたいんだ』と笑顔を向けられると、紗夜もあっさり陥落してしまう。

 人に見られる恥ずかしさよりも和季とふれあえる喜びが勝って、結局は紗夜の方から和季の手をぎゅっと握ってしまうのだ。

「ほんとは今すぐ籍入れたいんだけどな」

 隣を歩く和季が、繋いでいた手を一度ゆるめ、今度は指を絡めるように強く握り込んでくる。恋人繋ぎにきゅんとしてしまう紗夜は、雰囲気に流されて頷いてしまわないよう必死に頭を働かせた。

「そうもいかないでしょう。副社長の結婚式だってまだなのに」
「そうなんだよなー……」

 紗夜の指摘に、和季が盛大なため息をつく。

 もちろん彼自身も理解しているだろう。明里家はルミリュクスの副社長である和季の兄・唯人の結婚を控えている上に、そのルミリュクスもまだ社内恋愛が解禁されたばかりだ。

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