S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

「二年前から思ってたが、実際住んでみてよくわかったよ。あの家、セキュリティが脆弱すぎる」
「そ、そうですか? 普通だと思いますけど……」
「慣れてるせいで気にならないだけだろ。可愛い婚約者を住まわせておくには、あまりに不安だ」

 和季がまた過保護な愛情を発揮して、紗夜を自分の傍へ置こうとする。

 たしかに紗夜が住むマンションは、和季が住む立派なマンションとは比べものにならないほどセキュリティが甘いし、大家の管理も適当かつ曖昧だが、最低限の防犯対策は講じられていると思う。だが和季はどうしても納得できないらしい。

 同棲の提案は頑として譲らない、とでも言いたげな和季に苦笑するしかない紗夜だが、彼は突発的な思いつきだけで発言や行動に移すタイプではない。

 用意周到に、虎視眈々と、着実に獲物を狙い落とすよう策を練る――それが策士家な和季の好む戦術だ。

「これ合鍵」
「え……もう作ってるんですか……?」

 紗夜と繋いだ手と反対の手で上着のポケットを探った和季が、そこからマンションの鍵を取り出す。

 鍵は金属製の子鍵ではなく、エントランスの開錠用と部屋を開錠用の二枚のカードキーだったが、驚いたのはその二つを収めたキーケースだ。

 紗夜の目の前にぶら下げられたのは、明るいひまわり色のカードキーケースと――そこに取り付けられたテディベアのチャーム。

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