S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 首に黄色いリボンを巻いた、見覚えのある可愛らしいクマのぬいぐるみは、いつかのバレンタインデーに紗夜が和季に贈った『おまけ』とまったく同じもの。

「え……こ、これ……」
「ああ」

 紗夜が驚愕の声を上げると、和季が深く頷いてくれる。紗夜の小さな発見を肯定するやわらかな表情に、『正解』を聞く前から胸がきゅぅ、と高鳴った。

「家の周りを散歩してるときに、あのチョコレートショップを見つけたんだ。テディベアも、すぐに紗夜がくれたものと同じだとわかった」
「……和季さん」

 少しでも紗夜に近づくため、少しでも紗夜と一緒に過ごすために、同じマンションの隣の部屋を借りた和季だが、まだ付き合ってもいない紗夜にべったりとつきまとうわけにはいかない。

 仕方がない、と持て余した暇を潰すために周囲を散策した和季は、そこで紗夜がバレンタインデーの贈り物を購入した、あのチョコレートショップを発見した。

 そしてその店で、紗夜がチョコレートの『ついで』に買ったテディベアとまったく同じものを見つけた和季は、考えるまでもなくそれを購入していたという。

 いつか紗夜に、自分の宝物と同じものを贈るために。――紗夜と『幸せ』を分け合うために。

 目を見開いたまま手の中のテディベアと和季の顔を交互に見つめる。紗夜が知らない手品か魔法を使われて、あっと驚かされたような気分だ。

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