S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
和季を拒絶したいのか、それとも本当は彼に身を委ねたいのか、自分で自分がわからなくなる。頭の中でどれほど言い訳をしても、諦めるための理由を探しても、結局自分は和季を慕って求めて恋い焦がれてしまうのかもしれない、と思う。
そんなことを考えていると、背中を撫でていた和季がふと抱擁を緩めて、紗夜の顔をじっと覗き込んできた。
「いきなり五回も抱こうとして悪かった。紗夜がその気になれないなら、今夜は二回だけにしておくから」
「!?」
にこりと笑った和季が、紗夜の耳元でとんでもないことを囁く。
和季の発言と耳朶に触れる吐息に驚いた紗夜は、慌ててその腕を振り解くと、俊敏な動きで彼から距離を取った。
「ば、ばか……っ! 和季さんのえっち! 変態!」
それが目上の者に対して相当失礼な物言いであることは、十分自覚していた。
だが顔だけではなく全身が燃焼したように熱く火照ってるせいか、冷静な言葉選びと毅然とした態度を維持できない。
「もう知りませんっ! ここにも二度と来ませんから!」
「紗夜」
紗夜が文句を捲し立てると和季が一瞬悲しそうな表情をするが、その仕草にうっかり絆されたら今度こそ本当にベッドルームへ連れ込まれてしまう気がする。
ならばここは知らんぷりをすべきだと思い、踵を返してリビングを出る。