S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

7日間の猶予ののち


 翌週月曜、朝九時すぎ。

 本日より長年続いてきた社内恋愛禁止ルールが廃止となるためか、朝礼が終わったあとの経理課にも、なんとなくそわそわと落ち着かない空気が流れている。

 既婚者の社員にはまったく関係のない話だが、未婚の若手社員にとっては、今回のルール改定は今後のプライベートを左右しうる重大な変化なのだ。

 特に恋人のいない社員が浮足立ってしまうのは、ある程度は仕方のないことだと言えよう。

 そんなほんのり色めく空気の中で、紗夜だけがとんでもなく疲れている。仕事はまだ始まってすらいないというのに、週明けから面倒な案件に遭遇したような気分だ。

 ただでさえ金曜に衝撃的な状況に遭遇し、週末もあれこれと考えていたせいでゆっくり休息できなかったのに、出社してすぐにさらなる追い打ちをかけられるとは予想外にもほどがある。

(なんで……?)

 疲労と困惑の原因はわかっている。すべては役員の一人でありながら朝一番で経理課までやってきた、珍しい訪問者のせいである。

「みなさん、こちら明里常務からの差し入れですよ~~」

 課長の増井がにこにこと笑顔を浮かべつつ〝明里常務〟が持ってきた洋菓子の詰め合わせを部下たちに見せている。するとその笑顔を受けた和季も、その場の社員たちににこりと笑みを向ける。

「いただきものですが、俺一人では食べ切れないので。ぜひ経理課のみなさんで」
「わぁ~~ありがとうございます……!」
「ありがとうございます、常務!」
「……」

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