S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
いやいやいや、絶対おかしいでしょう!
なぜ常務である和季が、なんの関係もない――ということもないが、日々密接に関わっているわけでもない経理課に対して、差し入れを持ってやってくるのだ。
もちろん悪いことではないし、これにより経理課の面々が和季に従順にかしずくわけでも、和季が経理課の社員を特別扱いしていると見なされるわけでもないが、どう考えても違和感が満載なのだ。
まず、時間帯。なぜ月曜の朝一番というどの部署も、もちろん和季自身も忙しいであろう時間帯を選んでやってくるのだ。同じ差し入れを持ってくるにしても、週明けの忙しさのピークを乗り切った午後でもいいはずなのに。
その差し入れだって、紗夜にしてみれば少々不可解である。箱の中身は、最近都内に三号店をオープンしたワッフル専門店の人気商品詰め合わせだが、実はこの洋菓子、クリームやフルーツをふんだんに使用しているため消費期限がかなり短いのだ。
和季の立場なら流行りの人気菓子を手土産や差し入れとしていただくこともあると思うが、一人で食べ切れないほど大量に、しかも週末から週明けの朝一番のタイミングでもらうことがあるだろうか。
そして最大の疑問は、なぜそれを経理課に持ってくるのか、ということだ。
たしかに和季も四年前から二年前まで経理部に所属していたが、彼が在籍していたのは『経理部〝財務課〟』であって『経理部〝経理課〟』ではない。