S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 ディナータイムのためオープンスペースは宿泊客や来客で賑わっているが、和季は人が行き交うそのエリアではなく、奥にある個室を予約してくれていたらしい。

 いつの間に……と呆然としているうちに、コートを預かってくれたホールスタッフに個室の扉を閉められたので、すぐに和季と二人きりになった。

 窓の外に広がる都心の冬の夜景を眺めつつ、自分の考えの浅さに愕然とため息をつく。

「そうですよね……明里先輩が、食べ飲み放題の居酒屋とか行くわけないですよね……」
「行かないこともないぞ。けどこの時期だと、そういう店の方がむしろ混んでるだろ」

 紗夜がおずおずと腰を下ろしながら呟くと、向かいの席に座った和季が愉快そうに笑う。

「この一年の反省会をするなら、落ち着いて話ができる場所がいいもんな」
「うぐぅ……」
「冗談だよ」

 紗夜の情けない声と表情が面白かったのか、和季が声を立てて笑う。

 まさかのお説教タイムが始まるのかと身構えたが、和季は『仕事の話はほどほどでいい』と考えているらしく、最初のグラスが空になる前に話題は雑談へ移った。

「深田は、眼鏡外すとかなり印象変わるよなぁ」

 コースで運ばれてきた冷製蒸し鶏と湯葉の和えもの、あわびのソテー、海老のチリソースまで食べ終わったところで、和季がふとそう呟いた。

 見た目ほど辛くはないですよ、と説明を受けた麻婆豆腐を口へ運ぼうとしていた紗夜は、その一言にレンゲを置いて首を傾げる。

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